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正直に言うと、最初は苦手でした。
韓国のサスペンス映画って、痛いシーンから目を逸らさないんですよね。血も流れるし、人間の嫌な部分も容赦なく見せてくる。きれいなハッピーエンドなんて、ほとんど期待できません。
それなのに、気づけば次の一本を探している自分がいる。
あの「後味の悪さ」は、たぶん本物だからなんだと思います。ショッキングな描写もグロテスクな場面も、ただ驚かせるためじゃなく、人間の本当の姿を描くために使われている。だから観終わったあと、何日も頭から離れない。お皿を洗いながら、ふっと思い出してゾクッとしたりして。
今回は、そんな韓国サスペンスの「本気」を味わえる7本を選びました。入門しやすい作品から、覚悟して観てほしい重量級まで、順番に並べています。
夜、家族が寝静まったあとにどうぞ。
① 新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)

——まずはここから。ノンストップの2時間
ソウル発釜山行きの高速鉄道KTX。その車内で、謎の感染が広がっていく——。
設定だけ聞くと「ゾンビ映画でしょ?」と思うかもしれません。私もそうでした。でも違うんです。これは密室で人間の本性が剥き出しになっていく話。我が子を守ろうとする父親、自分だけ助かろうとする男、見ず知らずの人に手を差し伸べる人。極限状態で、誰がどう動くのか。
ラスト20分は涙なしには観られません。韓国サスペンス入門として、自信を持っておすすめする1本です。
こんな人に:韓国映画初心者/ハラハラしたいけど後味は残したくない人
② パラサイト 半地下の家族(2019)

——アカデミー賞4冠。でも「いい映画」では済まされない
半地下に暮らす貧しい一家が、高台の豪邸に住む裕福な家族に、一人ずつ入り込んでいく。
前半は笑えるんです、ほんとに。詐欺まがいの就職活動がテンポよく決まっていって、ちょっと痛快ですらある。でもある瞬間から、映画の空気が一変します。あの「におい」のくだりから先は、もう誰も笑えない。
格差という、どの国にもある問題。それをここまでスリリングに、ここまで残酷に描けるのは韓国映画だけだと思います。観たことがある人も、結末を知ったうえでの2回目こそ本番です。
こんな人に:話題作をまだ観ていない人/2回目で伏線を回収したい人
③ チェイサー(2008)

——犯人は最初からわかっている。なのに、この緊張感
デリヘルを営む元刑事の店から、女性たちが次々と姿を消す。彼女たちを最後に呼んだ客の番号は、すべて同じだった——。
この映画、犯人は早い段階で捕まるんです。なのに怖い。証拠がない。釈放までのタイムリミットが迫る。雨のソウルの路地を、元刑事がひたすら走る。観ているこちらの心拍数まで上がっていく構成は見事としか言いようがありません。
暴力描写はかなり直接的なので、苦手な方はご注意を。でもこの「容赦のなさ」こそ、韓国クライムサスペンスの真骨頂です。
こんな人に:刑事もの・追跡劇が好きな人/生ぬるいサスペンスに飽きた人
※こちらはU-NEXTでは配信されておらず、NetflixとAmazonプライムで観られます。U-NEXTとAmazonプライムの比較はこちらの記事でまとめています。
④ 殺人の追憶(2003)

——実話。そして、あのラストカット
1986年、韓国の農村で起きた連続殺人事件。実在の未解決事件をもとに、ポン・ジュノ監督が描く刑事たちの執念と挫折。
派手な演出はありません。あるのは、泥臭い捜査と、空回りする正義感と、少しずつ壊れていく刑事たちの姿。それなのに、一瞬たりとも目が離せない。
そして最後、ソン・ガンホがカメラをまっすぐ見つめるあのカット。スクリーンのこちら側にいる「誰か」に向けられた視線の意味を知ったとき、鳥肌が立ちました。映画史に残るラストだと思います。
こんな人に:実話ベースの重厚な作品が好きな人/「パラサイト」でポン・ジュノ監督が気になった人
⑤ 母なる証明(2009)

——母の愛は、どこまで許されるのか
知的障害のある一人息子が、女子高生殺害の容疑で逮捕される。警察はまともに捜査をしない。だったら私が真犯人を見つける——。年老いた母の、たったひとりの闘いが始まります。
同じ母として、観ていて何度も胸が苦しくなりました。息子を信じたい気持ち。疑いたくない気持ち。その先に待っている真実。
「母の愛」という、いちばん美しいはずのものが、いちばん怖いものに変わっていく。ポン・ジュノ監督の作品の中でも、私はこれがいちばん忘れられません。女性にこそ観てほしい1本です。
こんな人に:人間ドラマとしてのミステリーが好きな人/母親の視点で観たい人
※こちらもNetflix・Amazonプライムでの配信です。Amazonプライムの活用術はこちらにまとめています。
⑥ オールド・ボーイ(2003)

——15年間の監禁。理由は、最後にわかる
ある日突然拉致され、理由もわからないまま15年間監禁された男。突然解放された彼に、犯人から電話がかかってくる。「なぜ監禁されたのか、考えてみろ」——。
ここから始まる復讐劇は、とにかく強烈です。有名な「廊下の長回しアクション」、生きたタコ、そして終盤に明かされる真実。カンヌ国際映画祭でグランプリを獲りましたが、審査員長のタランティーノが絶賛したというのも納得の振り切れ方です。
正直、人を選びます。でも「映画にここまでやられた」という経験は、なかなかできるものじゃありません。
こんな人に:衝撃のどんでん返しを求める人/覚悟ができている人
⑦ 哭声/コクソン(2016)

——何を信じればいいのか、最後までわからない
静かな村で、住民が家族を惨殺する事件が相次ぐ。共通点は、原因不明の湿疹と錯乱。村人たちは、山に住み着いた謎の日本人のせいだと噂し始める——。
サスペンスであり、ホラーであり、オカルトであり。156分間、観客は主人公の警察官と一緒に「誰が悪なのか」を探し続けることになります。そして観終わったあとも、答えは出ません。
私はこれを観た夜、本気で眠れませんでした。考察サイトを朝まで読み漁って、それでもわからなくて。この「わからなさ」に取り憑かれた人を、何人も知っています。7本の最後に置いたのは、これが「沼の入口」だからです。
こんな人に:考察好きな人/簡単に答えをくれない映画を求める人
7本のうち5本は、U-NEXTで観られます
今回ご紹介した作品のうち、「新感染」「パラサイト」「殺人の追憶」「オールド・ボーイ」「哭声/コクソン」の5本はU-NEXTで配信中です。
31日間の無料トライアルがあるので、まずはこの5本を一気に観る、という使い方もできます。U-NEXTをお得に活用する方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。

まとめ
韓国サスペンスは、優しくありません。でも、だからこそ忘れられない。
1本観たら、きっと次が観たくなります。韓国映画の沼から少し離れて、ハリウッドの実力派でサスペンスを味わいたくなったら、レオナルド・ディカプリオの至極のサスペンス7選もどうぞ。
それでは、よい映画の夜を。

